家庭にも普及し始めている3Dプリンターですが様々な種類があります。
数ある種類の中でも光造形3Dプリンターがあり、一台家にあると非常に便利です。
ですが、「光造形式3Dプリンターにも種類が多くてどれを買ったらわからない・・・」という疑問も出てきそうですよね。
そんな疑問を解消すべくここでは毎日、光造形3Dプリンターを複数台稼働させている筆者が、おすすめ機種7選を造形サイズ別や価格別に初心者にも分かりやすく解説していきたいと思います!
皆さんにピッタリの光造形3Dプリンターが見つかるはずです!
知っておくべき光造形3Dプリンターの使い方や、必要なものはこちらの記事を参考にして頂けたらと思います。
光造形3Dプリンターとは
光造形式の3Dプリンターとは、紫外線を当てると硬化する、特殊なレジン(樹脂)を使用し、3Dデータを立体化できる3Dプリンターのことです。
きめ細かな造形物を印刷するのが得意(←重要!)なのでフィギュアなどにはこの方式一択です!
この1,2年で家庭用3Dプリンターでも光造形式のものが急速に増えてきました!
家庭用と業務用との違い
実は、業務用のものもご家庭に置くことができます。
といいますのも、実は家庭用、業務用の違いは明確には区分されていません。
コスト、サイズ、スペックの高いものが一般的に業務用とされており、扱いはまちまちです。
しかし、さすがに100万円以上するものを家庭用と呼ぶ人は少ないと思われます。
以前は家庭用といえば熱溶解積方式(熱で溶けるプラスチックのフィラメントを溶かして積み上げるもの)でしたが、近年は光造形式のものでも、家庭用と呼べるほど低価格なものが登場しました!
この記事では、10万円台までのものを家庭用と位置付けてご紹介したいと思います。
光造形式と熱溶解積層方式との違い
昨今で3Dプリンターをご家庭に導入する際に、調べていて一番初めにぶつかる選択肢が光造形式か?熱溶解積方式(FDM)か?という疑問ですね。
光造形式とは、紫外線照射パネルにより、UV硬化レジンを少しずつ固め、造形していく方式に対し、熱溶解積方式とは、ABS樹脂やPLA樹脂のフィラメントを溶かして少しずつ積層させていく方式です。
家庭用3Dプリンターが出始めのころは、この方式がほとんどでした。
光造形3Dプリンターで印刷できるフィギュア
光造形3Dプリンターのおすすめを紹介する前に、どんなフィギュアが印刷できるのかを見ておきましょう。
以下はセサミストリートのエルモのフィギュアを筆者が光造形3DプリンターのPhrozen sonic mighty 4Kで作成しました。
エルモの一連の作成方法は以下のYouTubeをご覧いただくとイメージがより付くと思います。
光造形3Dプリンターのメリット・デメリット
光造形3Dプリンターのメリット
なんといっても、きめ細かい造形物ができるのが一番の強みでしょう!
光造形3Dプリンターも一層一層重ねて作っていくのは熱溶解積層方式と同様ですが、圧倒的に積層が目立ちません。
熱溶解方式は平面や直線で構成された造形物であれば、それほど目立たないかもしれませんが、そういった得意な形のものでも光造形3Dプリンターの方が完成度に及びません!
造形物の完成度にこだわるのであれば、間違いなく光造形3Dプリンターを選ぶべきでしょう。
光造形3Dプリンターのデメリット
そんな万能感あふれる光造形3Dプリンターですが、後処理が面倒という問題点があります。
印刷物や使用後の3Dプリンターは、一般的なレジンを使用する場合はIPA(イソプロピルアルコール)という危険なアルコールを利用して洗浄する必要があります。
なぜ洗浄が必要か?
一般的なレジンを3Dプリンターで造形した場合、造形物に不要なレンジが残ってしまっています。
造形物の凹凸に落としきれなかった、未硬化の液状のレジンが付着していると、二次硬化の際にその部分が変に固まり形が崩れます。
また、二次硬化では液状のレジンを完全に硬化させることはできず、ずっとべたつきが残ります。
したがって、不要なレンジを洗浄する必要があるのですが、この付着したレンジは、洗浄力の弱いもの(例えば石鹸、家庭用洗剤、エタノールなど)では完全に落としきることが難しいです。
したがって、IPAという劇物を使って洗浄する必要があるということです。
光造形式の3Dプリンター購入時にIPAは付属してこないので、知らずに印刷を始めてしまうと大変なことになります・・・。
IPAは引火性が高く、さらには揮発性もあります。
作業する場所を選ぶうえ、においもきついので家族がいる場合は嫌な顔をされること間違いなしです。
当然、このような劇物ですから水道で流すこともできません。
「め、めんどくせえ・・・やってらんない、熱溶解方式でいいわ」って思ったあなた!待ってください!
もっとお手軽に気軽に光造形3Dプリンターを使用する魔法のアイテムがあるので、最後まで読んでくださいね!
光造形3Dプリンター選ぶ時のポイント
印刷できるサイズを確認する
安いものは意外と小さいものしか印刷できません。
自分が印刷したいものができるかどうか、できない場合はどれくらい分割するのか考えてから選んだ方がいいです。
印刷できる精度を確認する
名前や説明欄に、「2K」や「4K」、「8K」などの単語が入っていることがあります。
これは、光造形3Dプリンターの心臓部にあたるLCDパネル(紫外線パネル)の解像度を指しています。
テレビと同様に、このKの前の数字が大きければ大きいほど解像度が高く、高精細でエッジの効いた出力が可能です。
フィギュアのような細かいエッジを表現しなければならないものはできるだけ数字の大きいものを、選ぶといいでしょう。
ただし一般的に高解像度になればなるほど3Dプリンターの値段は上がるため、逆にスマホケースなどのそこまで細かい表現力が必要ないものしか利用しない場合は、あえて低解像度のものを選ぶことで低コストで導入が可能です。
消耗品は入手のしやすいか?
あまり日本でメジャーでないものを選ぶと、紫外線液晶パネルなどが寿命を迎えた場合、本体ごと買い替えることになります。
消耗品の入手難易度が低い=日本で普及している機種ということにもなっています。
ネットにノウハウは豊富にあるか?
光造形3Dプリンターは新しい技術でもありますし、最初のうちは色々と分からないこともあり、ネットを調べることが多いです。
その際に日本で普及している機種であれば、ブログやYoutubeに使い方やトラブル対応などの情報も載っていたりします。
あまり普及していない機種だと、英語しか情報がないや、全く情報がないということになり、つまずいて作業が止まってしまいます。
困ったときに相談できる人が多いというのも重要な要素です。
おすすめ光造形3Dプリンター主要スペック比較表
まずは今回ご紹介する光造形3Dプリンター7機種のスペックを比較しておきます。
Phrozen Sonic Mini 8K | ELEGOO Mars 3 pro | Anycubic Photon Mono 4k | Foto8.9s | Elegoo Saturn2 | Anycubic Photon Mono X 6k | Phrozen Sonic Mighty 8K | |
外観 | |||||||
価格 | ¥148,000(税込) | ¥47,800(税込) | ¥35,999(税込)(タイムセール時¥27,998) | ¥78,100(税込) | ¥89,800(税込) | ¥88,599(税込)(タイムセール時¥72,999) | ¥158,000(税込) |
出力サイズ | 165(幅)×72(奥行)×180(高さ)mm | 143(幅)×89.6(奥行)×175(高さ)mm | 165(幅)×132(奥行)×80(高さ)mm | 192(幅)×120(奥行)×200(高さ)mm | 219(幅)×123(奥行)×250(高さ)mm | 197(幅)×122(奥行)×245(高さ)mm | 218(幅)×123(奥行)×235(高さ)mm |
パネル | 8KモノクロLCD | 4KモノクロLCD | 4KモノクロLCD | 4KモノクロLCD | 8KモノクロLCD | 6KモノクロLCD | 8KモノクロLCD |
XY解像度 | 22 µm | 35μm | 35μm | 50μm | 28.5μm | 34μm | 28μm |
Z解像度 | 10 µm | 10μm | 10μm | 25μm | 1.25 µm | 10μm | 10μm |
プリンターサイズ | 290(幅)x 290(奥行)x 420(高さ)mm | 227(幅)×227(奥行)×438.5(高さ)mm | 227(幅)×222(奥行)×383(高さ)mm | 280(幅)×240(奥行)×465(高さ)mm | 305.9(幅) × 273(奥行) × 567.3(高さ)mm | 290(幅)×270(奥行)×475(高さ)mm | 337(幅)×337(奥行)×516(高さ)mm |
おすすめの熱溶解積方式(FDM)の3Dプリンターは以下を参考にしてみて下さい。
小物から普通サイズ用おすすめ光造形3Dプリンター
上記で挙げた7機種の詳細を見ていきましょう。
Phrozen Sonic Mini 8K
光造形式3Dプリンターの実力派メーカー、Phrozenから出た、大ヒット商品Sonic Mini 4Kの後継機種にあたる3Dプリンターです。
注目すべきはその名の通り8KのLEDモジュールを積んだことによる出力品の解像度!とにかく高精細で4Kのものと比べても全然積層がわかりません。
また、最近のPhrozenの3Dプリンターはプラットフォームがサンドブラスト加工されていて、印刷中の脱落を防止するようになっていたのですが、このPhrozen Sonic Mini 8Kは幾何学的模様がレーザー刻印しており、よりレジンの食いつきがよくなってより安心です。
日本の代理店が販売しているのでサポートもばっちりなので、迷ったらコレで間違いないでしょう。
23年10月時点で148,000円(税込)でSK本舗で購入できます。詳細は以下にて。
クーポンで更に安くなったりもしますよ♪
ELEGOO Mars3 Pro
格安光造形3DプリンターといえばELEGOO!Mars 3の後継機種としてMars3 Proが登場です。
基本性能としてはMars 3とあまり変わっていませんが、UVライトの均一性の制度が上がりよりシャープな造形ができるようになりました。
3Dプリンターを利用しているとどうしても出てくる問題、それは換気。結構匂うんですよね、UVレジンって。でも、ELEGOO Mars3 Proならなんと3Dプリンター自体にミニ空気清浄機が付属しています!
家族や同居人がいる方は、まずこれで試してみてください。
造形精度も実用レベルで大変よく、価格とのバランスもとれた商品だと思います。
SK本舗でも売っていますが、アマゾンの方が安いですね。
Anycubic Photon Mono 4k
4Kパネルを使っているのに超低価格で導入できる驚きのモデル!
出力サイズはその分高さが低いものしか出せないのですが、小物を出力したいだけであれば十分に高性能です。
アマゾンのタイムセールのタイミングを狙えばなんと¥27,998で購入できることもあり、コスパ最強のモデルといえるでしょう。
3Dプリンターの心臓部のスクリーンには、傷防止のアンチスクラッチフィルムが初期装備されていますので、万が一のトラブルにも強い設計になっています。
まずは光造形3Dプリンターを試したいという方は、Anycubic Photon Mono 4k が圧倒的おすすめです。
大きな造形物用おすすめ光造形3Dプリンター
Foto8.9s
幅20㎝弱、奥行き12cmの造形物を出力できる大型の3Dプリンターです。
このサイズの3Dプリンターとしては価格が安く、日本の代理店を通して流通しているため、困ったときは日本語サポートがあるのもうれしいですね!
サイズが大きいとプラットフォームも大きくなり、水平レベルをきちんと調整しないと造形物が脱落しやすく失敗につながりやすいのですが、Foto8.9sはプラットフォームをサンドブラスト加工しているのでレジンの食いつきがよく落下事故を防ぎます!
4KLEDパネルを使用しているので造形制度もなかなかのものですので、低価格で大きいサイズを探している方にお勧めです!
Elegoo Saturn2
でかい!8K!10万円以下!三拍子そろった素晴らしい3Dプリンターです。
同じ8KのPhrozen Sonic Mini 8Kに対してわずかに解像度は落ちますが、それでも通常の4Kパネルを使用したものと比較すると高精細な出力が可能です。
幅約22㎝のものを出力できるので、大きいサイズを出したいけどデータの分割面倒だな・・・という悩みを解消してくれますね。
この機種にもやはりElegoo独自の空気清浄機がついておりますので、におい問題も軽減してくれるのもうれしいところ。
これだけそろって10万未満で導入できるのはほんといい時代になりましたね。
Anycubic Photon Mono X 6K
6K・・・?ん?6?そう、6K!
名前の通り4Kより高精細で8Kには少し解像度が劣るかな、という感じのモデルです。
え?「それならElegoo Saturn2と価格差ないからSaturn2にしますわ」って?いやいや、ちょっと待ってください。
確かに出力サイズもSaturn2より小さいし、解像度も8Kより4Kよりではありますが、この商品はたびたびAmazonのタイムセールに登場するのです!その値段なんと¥72,999!どうですか?
これなら十分Anycubic Photon Mono X 6Kも視野に入るでしょう?
品質は3Dプリンター老舗のAnycubic製なのでもちろん高性能!タイムセール時に購入できれば大型機種で最高コスパを叩き出せる良機種です。
Phrozen Sonic Mighty 8K
もちろんPhrozenにも大サイズを出力できるマシンはございます!
以前のSonic Mighty 4Kから出力可能サイズをさらに1㎝ほど大きくして、8Kパネルをつけて帰ってきました!
日本の正規代理店経由のものは2022年7月末に初回出荷分が発送されたので、まだ新しいモデルです。
プラットフォームを支えるリニアレールはデュアルレールを採用し、動作時の安定性は抜群。
Sonic Mini 8Kと同様にプラットフォームの表面加工も特殊な幾何学模様が刻印されていますので、レジンの食いつきもばっちりで印刷事故を予防します。
残念なのは、生産数が追い付いていなくて日本向けの出荷が第二回目以降が少し後になりそうなこと・・・。
Phrozenは消耗品の入手なども簡単で、アフターサービスもある信頼できるメーカーですから待てるという人は待っていても後悔はしないと思いますよ!
光造形3Dプリンターと同時に用意すべき便利な必須アイテム
水道水で洗浄できる!水洗いレジン
はい!これです!
これがデメリットのところで紹介した、IPAの問題をすべて解決する魔法のアイテム!
その名の通り、水道で洗浄できるようになります!
日本ではSK本舗さんというメーカーさんが販売されているものが有名で、僕も愛用しています。
造形物を水道でじゃぶじゃぶ洗ってOKなので、工程が一気にらくちん!
造形物の強度も一般的なレジンと変わらず、まったく問題ありません。
Phrozenのものであれば、特に露光時間など合わせなくても僕の環境ではデフォルトの設定で印刷できましたので、癖がなく非常に扱いやすいレジンです。
においも少なめなのもうれしい!
光造形3Dプリンターを初めて利用される場合は、プリンターに付属しているお試しレジンを使わずにいきなりこれを使われることをお勧めします。
造形物に強度が欲しい?そんな時は高耐久な強靭レジン!
フィギュアの髪の毛など細~~いパーツを印刷する場合は、印刷後の粘り強さが段違いの強靭レジンを使用しましょう。
SK本舗さんなら水洗いバージョンもあります。
二次硬化に必須!紫外線ライト
光造形3Dプリンターの造形物は、実は洗浄後もう一度紫外線を照射して、表面を固めないといけません。
しっかり洗浄しても、表面は少しべたべたしてしまっているからです。
小さな造形物であれば、安いネイル用の紫外線ライトなどを利用しても大丈夫です。
片面ずつしかできませんが、僕もこれを使って、造形物を時々ひっくり返しながら硬化させています。
大きめのものが欲しい!という場合は専用の二次硬化ブースなども売っています。
ただし、そもそもそんなに大きいものってあまり出力する機会ないと思いますので、(完成品が数十cmあるものでもパーツを分けて出力することが多い)よほどこだわりがない場合はネイル用で十分だと思います。
プラットフォームから快適に造形物をはがす!OLFAスクレーパー
光造形3Dプリンターの造形物はプラットフォームにくっついて出力されるのですが、これが意外としっかりくっついているんです・・・
付属のスクレーパーや、薄くないスクレーパーだと造形物が全然はがれず苦労します。
最悪の場合、何時間もかけて印刷した造形物が破損します。
そこで、OLFAスクレーパーを別途用意しましょう!
刃が鋭く、するするとプラットフォームから造形物を剥がしてくれます。
僕はこのスクレーパーに変えてから造形物の引きはがし時の事故が無くなりました!
通常レジンの場合は絶対必要!IPA
上で紹介した水洗いレジンを使用せず、通常レジン(付属のレジンも)を利用する場合は、必ずIPAが必要です。
洗浄力が高く3Dプリンターの処理以外にもお掃除なんかにも使えます。
これを購入する場合は、一緒に防毒マスク、メガネ、ゴム手袋、大きめのスポイト、プラットフォームと造形物が入るサイズの密封できるタッパーを二つ以上を一緒に購入してください。
使用方法はタッパーにIPAをプラットフォームと造形物がつかるくらいそれぞれ注ぎ、一回目の洗浄用のタッパーでまず洗浄し、次にもう一方のIPAを入れたタッパーに入れて洗浄し、洗浄後は造形物からIPAをよくふき取ってください。
作業中は必ず防毒マスク、メガネ、ゴム手袋を着用し、火気厳禁です。
IPAの移し替え時は必ずスポイトを利用してください。
慣れてくるとついついそのまま移したりしたくなりますが、大事故の素です。絶対にしないようにしましょう。
IPAは濁って洗浄効果がなくなるまで繰り返し使用できますので、密封できるタッパーにそのまま保存しておきましょう。
濁りきって、洗浄してもレジンが落ち切らなくなったら、お住いの地方自治体の基準に従って廃棄をしてください。
あったら何かと便利!バット
印刷後の洗浄前の造形物をいったん置いたり、プラットフォームを置いたりと金属バットが2,3枚あると非常に作業が楽になります。
100均のものでもいいので用意してるといいですね。
まとめ
ではこの記事のまとめです!
・光造形式3Dプリンターは用途や印刷サイズによって本体を選ぼう!
エッジの効いた作品を作りたい、精度がいいものが欲しい場合は、Phrozen Sonic Mini 8Kを!
とにかく安く始めたい人にはAnycubic Photon Mono 4k!Amazonのタイムセールを狙えば驚異の2万円台で導入できます。(しかも4K)
大きいものを印刷したい場合はElegoo Saturn2!10万未満でこのサイズ、8Kで購入できるのは驚異的です。
・初心者は水洗いレジンを用意しよう
水洗いレジンは光造形式3Dプリンターの面倒ごとの大半を一気に解決します!
初心者はまず水洗いレジンを買いましょう!!
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